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読解力のなさに嘆く
- 2020年03月29日
語を教えているときより、数学を教えているときの方が
生徒の読解力のなさを感じることが多いです。
問いの意味を理解しないといったらよいでしょうか。
文章題を読んでも、いったいこの問題は何を聞いているのか
わからない、といった生徒が意外と多いのです。
何を聞いているのかが分かれば、それをXと置くことができます。
また、ある事柄をXと置くことができれば、式となる文章の一部
を探して式化していくだけです。
例えば、「Aさんは時速4kmで歩いています。3分後に兄が時速10kmで追いかけます。
追いつくのは何分後でしょうか。」
という問題を、少しだけ文章を変えて、次のような文章にするとさっぱりわからなくなるという現象が起きます。
「Aさんは8時に家を出ました。兄は自転車に乗って、8時3分に家を出ました。
Aさんは時速4kmで、兄は時速10kmです。兄がAさんに追いつくのは8時何分か。」
私がまずすることは、「この人は何を聞いているの?」と聞くことです。
普通ならすぐに答えが出てくるはずですが、それがなかなか出てこないことが
多いです。そして、次に聞くことは、「この文で、分かっていることは何で、
分かっていないことは何?」といったことです。
これもなかなか出てきません。
もちろん、みんなができないわけではありません。
できる子もいればできない子もいます。
ただ、そのできない子の割合が年々増えている気がしてなりません。
何が原因かは分かりません。
あともう一つ昔を比べて変化があることに気づきます。
それは、授業中、授業以外含め、静か過ぎるということです。
土曜日や日曜日に行う長時間テスト対策において、途中休憩を取りますが、
その休憩時間ですら話すことをしません。
他校、他学年が入り混じっています。それでも、昔は学校や学年を超えて
よく会話していました。今は恐ろしいほど静かです。
このようなコミュニケーションの無さが原因しているのかもしれません。
もちろん、色々な原因がほかにもあるかもしれません。
このように、読解力が無いと人生が不利になります。
あらゆる科目の点数が伸びません。それは単純な知識の引き出しでしかない
問題しかできないからです。
たとえば、社会で言えば、「アメリカ合衆国の首都はどこか。」という問題に答えられても、
「日本が1894年、朝鮮において、清と戦争をしなければならなかった理由を、
甲午農民戦争という言葉を用いて説明せよ。」と聞かれると答えられなくなります。
また、社会に出て、上司に「~が・・・だから、~に間に合うように、・・・しておいて。」
と頼まれてもその意味が理解できなかったり、顧客に「~の・・・で、~に使うから、
・・・に合った~が欲しい」と言われても、相手が何を欲しているのか正確に分からなかったりすると、
あまり仕事を頼まれなくなる可能性があります。
さらに最新のAI技術によって、単純な作業しか要求されない職業は取って代わられる
可能性があります。なので、これからは相手が何を意味して、何を要求していて、
何を欲しがっているのかを読み取って、それに即応できる必要があります。
或いは、それらを読み取ることでビジネスチャンスに変えたりすることもできます。
数学や国語の力を今のうちに養っておけば、人生勝ち組になれます。
ただ記憶力に特化した能力は非常に脆いということだけは認識しておいてください。